解熱鎮痛剤アセトアミノフェン

アセトアミノフェンについて

アセトアミノフェンAcetaminophen)は、パラセタモール(Paracetamol)とも呼ばれる解熱鎮痛薬のひとつです。中枢神経の体温調節中枢に作用することにより熱を下げ、視床と大脳皮質における痛覚閾値を高めて痛みを和らげます。主に発熱、寒気、頭痛などの症状改善に用いられ、一般用医薬品の感冒薬にも広く含有されていますが、過剰服用に陥る事例も少なくありません。

1877年に発見され、現在では米国と欧州で最も利用される鎮痛薬・総合感冒薬です。WHO必須医薬品モデル・リストに収録され、後発薬も利用可能です。あゆみ製薬が「カロナール」、マイランEPDが「アンヒバ」という商品名で販売しています

特徴

アセトアミノフェンはアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、抗炎症作用はほぼ有していません。正常な服用量では、血液凝固、腎臓あるいは胎児の動脈管収縮などの影響が少ないです。オピオイド系鎮痛剤と異なり、興奮、眠気などの副作用と薬物依存、耐性、離脱症状は観察されていません。NSAIDsに起因する「アスピリン喘息」罹患者への投与は禁忌となっています。

医療用途

鎮痛剤として多く頓服処方されています。頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打

撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症など、小規模から中規模な手術後の鎮痛目的で使用されます。

日本では承認審査体制の整備前より使用されており、先発品は存在しません。指定第2類医薬品として「ノーシン」などが販売され、処方箋医薬品としてイソプロピルアンチピリン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン合剤の「SG配合顆粒1g」を塩野義製薬が販売しています。

作用機序

アスピリンと同様にCOX活性を阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制しますが、その効果は弱いです。解熱・鎮痛作用はCOX阻害以外の作用によると考えられているが、詳細は不明です。

2005年にZygmuntらにより、アセトアミノフェンの代謝物であるp-アミノフェノールが肝臓主体で産生された後に、大部分が脳内に、また、ごく一部は脊髄に移行しアラキドン酸と結合することで、N-アシルフェノールアミンを合成することが発見されました。このN-アシルフェノールアミンが鎮痛作用を示す源となる可能性を報告しています。

2011年の日本薬局方解説書には、アセトアミノフェンはシクロオキシゲナーゼ系の阻害効果はほとんど持たず、視床下部の体温調節中枢に作用して表在毛細血管を拡張させることにより解熱作用を発揮するとされています。鎮痛作用は、視床および大脳に作用し、痛覚閾値を上昇させる経路によると推定するとされています。

副作用

重大な副作用に肝障害が挙げられます。アセトアミノフェンはシクロオキシゲナーゼ(COX)活性阻害が弱くNSAIDsに見られるような胃障害の副作用が発生する頻度は低いですが、肝障害の発症頻度が高まるおそれから、アセトアミノフェン325mg以上含有する医薬品の処方中止を、2014年にアメリカ食品医薬品局が勧告しました。米国ではアルコールに次いで2番目に多い肝硬変の原因物質とされています。特に小児がアセトアミノフェン製剤の糖衣錠やシロップ薬をあやまって過量内服する例が数多く報告されています。

また重篤な肝障害を有する患者には禁忌とされており、アセトアミノフェン4.8gをアルコールとともに服用し急性肝不全で死亡した事例が1989年に報告されるなど、アルコール多量常飲者への投与は注意を要します。

犬や猫(特に猫)はグルクロン酸抱合能が低く、アセトアミノフェンを少量摂取しても中毒するため、アセトアミノフェン含有の解熱鎮痛剤を犬猫に投与してはなりません。