アシクロビルについて

アシクロビルAciclovir)はウイルス感染症の治療薬です。単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスなどに対して有効性があります。単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の治療や骨髄移植時における発症抑制、水痘、帯状疱疹の治療等に使われます。注射薬はこれらのウイルスによる脳炎・髄膜炎に対する適応を持っています。

バローズ・ウェルカム研究所でガートルード・エリオンによって開発されました。日本ではグラクソ・スミスクラインからゾビラックスが販売されています。後発医薬品も様々に販売されています。剤形としては注射、錠剤、顆粒、シロップ、ゼリー、クリーム、軟膏、眼軟膏等があります。2007年に一般用医薬品として大正製薬よりヘルペシア軟膏、グラクソ・スミスクラインよりアクチビア軟膏が発売されました。

効能・効果

成人

・単純疱疹

・造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制

・帯状疱疹

小児

・単純疱疹

・造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制

・帯状疱疹

・水痘

・性器ヘルペスの再発抑制

効能・効果に関連する使用上の注意

小児の性器ヘルペスの再発抑制においては、体重40kg以上に限り投与すること。成人における性器ヘルペスの再発抑制に対する適応はありません。

用法・用量

点滴静注によってのみ投与すること。本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましいとされています。

成人

通常、成人にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mg13回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注するものとします。なお、脳炎・髄膜炎においては、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができます。ただし、上限は1回体重1kg当たり10mgまでとされています。

小児

通常、小児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mg13回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注するものとします。なお、必要に応じて増量できるが、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとされています。脳炎・髄膜炎においては、投与期間の延長をすることができます。

薬理

ヘルペスウイルス(HSV-1HSV-2)または水痘・帯状疱疹ウイルス(VSV)感染細胞内ではウイルス性のチミジンキナーゼ(TK)が発現しています。アシクロビルはウイルス性TKで一リン酸化された後、宿主(ヒト)細胞性キナーゼで三リン酸体(活性体)となり、ウイルスDNAポリメラーゼでウイルスDNAに取り込まれ、それ以上のDNA伸長を阻害し、ウイルスの増殖を防ぎます。

副作用

内用薬(注射剤、錠剤等)では下記の項目が重大な副作用に設定されているが、外用薬(軟膏、クリーム等)には設定されていません。

・アナフィラキシー(呼吸困難、血管浮腫等)

・汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.02%)、血小板減少性紫斑病

・意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等

・呼吸抑制、無呼吸(0.02%

・中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal NecrolysisTEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)

・間質性肺炎、急性腎不全、肝炎、肝機能障害、黄疸、急性膵炎

副作用発現率は、注射剤で4.60%、錠剤・顆粒剤で2.09%(単純疱疹、帯状疱疹、水痘の通算)、軟膏で0.87%(治験と使用成績調査の通算)、眼軟膏で13.57%でした。その他の剤形は後発品であるので頻度調査を実施しておらず不明です。

慎重投与

・腎障害のある患者(精神神経症状等があらわれやすい)

・肝障害のある患者(肝障害が増悪するおそれがあります)

・高齢者(精神神経症状等があらわれやすい)

・小児

禁忌

本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者。