男性型脱毛症治療薬デュタステリド

デュタステリドについて

デュタステリドDutasteride)は、テストステロンからのジヒドロテストステロン(DHT)生成を阻害する5α-還元酵素トリプル阻害薬です。プロペシアの主成分であるフィナステリドと同様に、男性型脱毛症(AGA)発症要因となるDHTを抑制する医薬品成分です。その脱毛抑制効果はフィナステリドよりも高いという臨床データもあります。

前立腺肥大症および男性型脱毛症の治療に用いられます。グラクソ・スミスクライン株式会社から「アボルブ」(前立腺肥大症)、「ザガーロ」(男性型脱毛症)という商品名で発売されています。

効能・効果

・前立腺肥大症

0.5mgカプセルでは前立腺肥大の改善作用が承認されています。日本国内で実施された前立腺容積30cc以上の前立腺肥大症患者に対して実施された二重盲検比較試験で、用量依存的な前立腺容積の減少が認められました。24週間の連日投与により0.5mg前立腺容積は平均3/4に縮小し、プラセボに比して有意な差を示しました。またI-PSS(国際前立腺症状スコア)と最大尿流率の改善も確認されています。

・男性における男性型脱毛症

0.1mgカプセルおよび0.5mgカプセルは、男性における男性型脱毛症の治療薬として認定されていますが、保険収載はされていません(自費治療・自由診療)。抜け毛の防止効果はフィナステリドと上回ることが確認されており、フィナステリドでは不十分だった増毛効果があります。ただし毛根が失われた箇所については再生しません。増毛効果は、毛が長く太くなることと、単一毛根から複数の毛が生えることによります。円形脱毛症等には効果がありません。また20歳未満での安全性および有効性は確立されていません。女性には使用することができません。

作用機序

デュタステリド5α-還元酵素阻害薬に属する薬剤で、3-オキソ-5α-ステロイド-4-デヒドロゲナーゼを阻害してテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換される過程を遮断します。DHTはテストステロンよりも強力なアンドロゲンであり、前立腺に作用する主要なアンドロゲンです。またDHTは頭髪の毛乳頭細胞に作用して毛周期の内の成長期を短縮させて硬毛を軟毛へと変え、最終的に脱落させます。DHTの生成を抑えることで、前立腺の肥大および頭髪の脱毛が抑制されます。

副作用

重大な副作用として、肝機能障害(アボルブ:1.5%、ザガーロ:頻度不明)・黄疸(頻度不明)が記載されています。前立腺肥大症の日本国内臨床試験での副作用発現率は10.9%で、主な副作用は勃起不全(3.2%)、性欲減少、リビドー減退(1.7%)、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)でした。男性型脱毛症の第II/III相国際臨床試験での副作用発現率は17.1%で、主な副作用は勃起不全(4.3%)、リビドー減退(3.9%)、精液量減少(1.3%)でした。

禁忌

女性、小児・幼児・乳児・新生児、重度の肝機能障害のある患者、製剤成分に過敏症の既往歴のある患者には禁忌とされています。フィナステリドに過敏症を示した患者にも使用することはできません。

妊娠中にデュタステリドや他の5α-還元酵素阻害薬を服用すると、子どもに悪影響を与えます。これらの薬剤は皮膚から吸収されるので、妊婦または妊娠の可能性のある女性は薬剤を取り扱わないことが望ましいとされています。カプセルの内容物に触れてしまった場合は、直ちに石鹸および流水で洗い流す必要があります。

デュタステリド服用中の患者は献血することができません。血中半減期が長いため、投与中止後6ヶ月間は献血できません。

耐性

耐性とは薬品の使用に対して身体が抗体を生成し、薬品の効果が薄れていく症状です。デュタステリドの特徴はこの耐性の発生可能性です。デュタステリドはステロイド系の薬剤であり、長期間の服用によって耐性が生まれる可能性が示唆されています。そのため、AGA治療に用いる場合は最大でも0.5mgという少ない含有量に設定されています。