エストラジオールについて
エストロゲンは、代表的な女性性ステロイドホルモンであり、標的臓器の細胞質内レセプターと結合して作用します。エストロゲンとしては多種確認されていますが、主なものはエストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3つです。このうち、生理活性の最も高いエストラジオールが重要となります。エストラジオールは、主として卵巣から産生され、卵胞発育に伴い特徴的な分泌パターンを示し、妊娠中は胎盤性エストロゲンの一部として、思春期、不妊症、更年期、閉経婦人における卵巣機能の評価として重要な意味をもちます。
エストロゲンの中で最も強い生理活性を示すエストラジオールは、薬剤としてホルモン療法に使用されます。久光製薬から「エストラーナ」、バイエル薬品から「ジュリナ」、ポーラファルマから「ディビゲル」、資生堂から「ル・エストロジェル」の商品名で一般販売されています。
エストロゲンについて
エストロゲン(Estrogen)は、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3種類からなるステロイドホルモンの一種です。一般に卵胞ホルモン、または女性ホルモンとも呼ばれます。
卵巣の顆粒膜細胞、外卵胞膜細胞、胎盤、副腎皮質、精巣間質細胞で作られます。乳児期早期(1~3ヶ月)の女性は思春期並に分泌量が多く、小卵胞が出没しますが、2歳から思春期を迎えるまでは分泌量が減少します。2歳から思春期を迎えるまでの分泌量は女性で0.6pg/ml、男性で0.08pg/mlと女性の方が高くこれが女性の思春期初来が男性より早い原因のひとつとなっています。思春期に卵巣が発達し始めると共に分泌がプロゲステロンも増加し始め、第二次性徴を促進させます。更年期以降は分泌が減少します。
エスロトゲンの種類
エストロゲンには、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3種類があります。
・エストロン(E1)
副腎や脂肪組織でつくられるエストロゲンで、閉経した後はほかの2つのエストロゲンよりも多く分泌されます。エストロンの量が増えると乳がんや子宮がんになりやすいといわれています
・エストラジオール(E2)
もっとも作用の強いエストロゲンで、閉経を迎えるまでほかの2つのエストロゲンよりも多く分泌されるのがこのエストラジオールです。卵巣でつくられており、生殖器の発育を促す働きがあります。これが多くなり過ぎると、乳がんを進行させるといわれています。
・エストリオール(E3)
胎盤や肝臓でエストロンやエストラジオールから変換されてエストリオールがつくられます。エストロゲンとしての強さは3つのうちでもっとも弱いのですが、乳がんや子宮がんなどを抑える抗がん作用があるとされています。
生成
エストロンとの可逆反応により、またはテストステロンから不可逆に生成します。顆粒細胞、莢膜細胞、胎盤、副腎皮質、精巣間質細胞などが産生されます。
活性
エストロゲンの中で最も強い生理活性を持ち、その活性はエストロンの2倍、エストリオールの10倍です。
神経保護作用
酸化ストレスによる細胞死を防ぎ、神経保護作用を有することがin vivoで判明しています。Gタンパク質共役型受容体30(GPR30)を介したN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)曝露による興奮毒性から培養皮質神経細胞を保護しました。グルタミン酸20mMの毒性に対し、17βエストラジオールのED 50は1.978µMでした。
効能・効果
・更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、腟萎縮症状
・閉経後骨粗鬆症
用法・用量
・更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う症状
通常、成人に対し1日1回0.5mgを経口投与します。なお、増量する場合は、1日1回1.0mgを経口投与することができます。
・閉経後骨粗鬆症
通常、成人に対し1日1回1.0mgを経口投与します。
環境問題
近年、人間の尿中に含まれているエストラジオールをはじめ天然、人工女性ホルモンの環境に与える影響が問題となっています。都市部の下水道中より17β-エストラジオール(E2)などが観測されています。特に英国では、雌雄同体化したローチ(コイ科の魚類)が1980年代前半から下水処理場の放流先となる河川で見つかりだしており、この問題が深刻となってきています。