メトロニダゾール

メトロニダゾールについて

メトロニダゾールmetronidazole)はニトロイミダゾール系の抗原虫薬、抗菌薬のひとつです。日本では商品名「フラジール」などで知られています。当初はトリコモナス感染症治療薬でしたが、様々な微生物への殺作用が確認されたことにより適応が広がりました。

開発と販売

当初トリコモナス感染症治療薬として開発されたが、膣トリコモナス症治療に伴う歯肉炎の改善効果発見によって嫌気性菌に対する抗菌活性が見出され、他の感染微生物に対しても開発が進められました。欧米では嫌気性菌等にも広く用いられていたが、日本では長くトリコモナス感染症の薬剤としてしか認可されていませんでした。現在ではヘリコバクター・ピロリ菌の2次除菌療法における薬剤としても認可を受けています。そのほか、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバなどの嫌気性環境に寄生する原虫類や各種嫌気性菌に対しても、2012年公知申請により日本でも健康保険の適用対象となりました。さらに、がん性皮膚潰瘍部位で増殖するグラム陽性およびグラム陰性嫌気性菌の殺菌目的にも使用されることがあります。

日本では、内服薬「フラジール」(塩野義製薬)および「アスゾール」(富士製薬)、外用薬「フラジール膣錠」「ロゼックス・ゲル」(ガルデルマ製造販売)、注射薬「アネメトロ点滴静注液500mg」(ファイザー製造販売)。として発売されています。

適応症

・トリコモナス症

・ヘリコバクター・ピロリ感染症

・アメーバ赤痢、肝膿瘍

・ジアルジア症

・嫌気性菌感染症

・感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む。嫌気性菌であるクロストリジウム・ディフィシル感染に対して)

用法・用量

・トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)

通常、成人にはメトロニダゾールとして,1クールとして,1250mg12回、10日間経口投与します。

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

アモキシシリン、クラリスロマイシンおよびプロトンポンプインヒビター併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、通常、成人にはメトロニダゾールとして1250mg、アモキシシリンとして1750mgおよびプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に、12回、7日間経口投与します。

薬理

嫌気性菌やトリコモナスなど、嫌気性環境下で増殖する病原微生物がもつ特異的なニトロ還元酵素系(ニトロレダクターゼ)によって還元され、メトロニダゾールはニトロソ化合物(R-NO)に変化します。この変化体がフリーラジカルとしてDNA二重鎖切断などの細胞傷害活性を有すため、殺菌作用を示すといわれています。

副作用

比較的副作用は少ないとされています。軽度なものとして消化器症状(悪心、心窩部不快感など)、金属味、舌苔、暗赤色尿などが指摘されています。

また、まれに中枢性・末梢性の各種神経学的合併症(痙攣、小脳症状、末梢神経障害(可逆的)など)が指摘されており、これには重篤例も含まれます。このため、肝機能不全、長期投与や高用量投与の際には特に注意が必要です。

禁忌

・既往に本剤の成分に対する過敏症を起こした患者。

・血液疾患のある患者(白血球減少があらわれることがあります)。

・脳・脊髄に器質的疾患のある患者(中枢神経症状があらわれることがあります)。

・妊娠3ヵ月以内の婦人(胎児に対する安全性は確立していないので、特に妊娠3ヵ月以内は経口投与をしないこと)。

併用注意

・アルコール(本剤はアルコールの代謝過程においてアルデヒド脱水素酵素を阻害し,血中アセトアルデヒド濃度を上昇させます)。

・リトナビル(リトナビルはエタノール18%を含有するので本剤により血中アセトアルデヒド濃度を上昇させます)。

・ジスルフィラム(機序は不明ですが錯乱等の精神症状が出現することがあります)。

・ワルファリン(本剤はワルファリンの代謝を阻害し、その血中濃度を上昇させます)。