リファキシミン製剤は、1985年にイタリアで最初に承認されて以来、40ヵ国以上で肝性脳症に係る効能・効果、20ヵ国以上で高アンモニア血症に係る効能・効果が承認されています。難吸収性抗菌薬の中でも、「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」を効能・効果とする薬剤です。
肝性脳症は、劇症肝炎や肝硬変等に伴う重篤な合併症のひとつであり、意識障害、人格変化、異常行動及び神経筋活動の変化(羽ばたき振戦)等から昏睡に至る精神神経症状を呈し、発症後の予後は不良であり再発率も高い深刻な病気です。
用法・用量
通常、成人にはリファキシミンとして1回400mgを1日3回食後に経口投与します。
用法・用量に関連する使用上の注意
1. 本剤は難吸収性製剤ですが,耐性菌の発現等を防ぐため、治療に際しては効果を十分に確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめるようにしてください。
2. 国内臨床試験において,本剤の12週間を超える使用経験はないため,12週間を超えて投与する際はその必要性を慎重に判断する必要があります。
作用機序
主として腸管内のアンモニア産生菌に作用することで、アンモニア産生を抑制し(in vitro)、血中アンモニア濃度を低下させます(in vivo)。リファキシミンは細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼに結合し、RNA合成を阻害することが示唆されています。
適応は「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」です。肝性脳症は、劇症肝炎や肝硬変などに伴う重篤な合併症のひとつで、体内でのアンモニア代謝が不十分になり、脳が直接障害されます。意識障害、人格変化、異常行動および神経筋活動の変化(羽ばたき振戦)などの精神神経症状を示し、最終的に意識消失、昏睡に至ることもあります。
治療学的・製剤学的特性
・グラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性菌及び嫌気性菌に対して抗菌活性(in vitro)を示します。
・主として腸管内のアンモニア産生菌に作用することで、アンモニア産生を抑制し、血中アンモニア濃度を低下させます。
・肝性脳症患者を対象とした国内及び海外の臨床試験において、血中アンモニア濃度、PSE 指数及び肝性脳症昏睡度の低下が認められています。
耐性
リファキシミンに対する耐性は、主にDNA依存性RNAポリメラーゼ遺伝子の点突然変異により発生することが示唆されています。他のリファマイシン系抗菌薬であるリファンピシンについても、DNA依存性RNAポリメラーゼ遺伝子の点突然変異が耐性に寄与していますが、in vivo試験において、リファキシミン投与後における結核菌のリファキシミン及びリファンピシンに対する感受性低下は認められませんでした。
効能・効果
肝性脳症における高アンモニア血症の改善。
重大な副作用
偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症)(頻度不明):偽膜性大腸炎(クロストリジ ウム・ディフィシル関連下痢症)があらわれることが あるので、腹痛、頻回な下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下の副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
1~5%未満 | 1%未満 | |
過敏症 | 発疹、湿疹 | |
消化器 | 便秘、下痢 | 悪心、腹痛、上腹部痛、腹部不快感、痔出血 |
肝臓 | ALP上昇、高ビリルビン血症 | |
精神神経系 | めまい、味覚異常、肝性脳症の悪化、頭蓋内動脈瘤 | |
循環器 | 高血圧、動悸 | |
その他 | 声帯の炎症、敗血症、背部痛、発熱、尿中血陽性 |
慎重投与
重度の肝機能障害を有する患者には慎重に投与してください。本剤は主に肝で代謝されるため、重度の肝機能障害患者ではAUCが増大することがあります。
高齢者への投与
一般的に、高齢者においては生理機能が低下しているため注意が必要です。