シブトラミンについて

シブトラミンSibutramine)はいわゆる痩せ薬のひとつです。日本ではエーザイにより2007年に医薬品製造販売承認が申請されましたが、2009926日に却下されました。海外ではアメリカで「メリディア(Meridia)」、オーストラリアで「リダクティル(Reductil)」という商品名で販売されていましたが、一部の国では販売中止となり、使用について注意喚起されています。

用法

通常は塩酸塩である塩酸シブトラミンの形で使用されます。本薬は中枢神経系に作用することと高血圧等の循環器系に関連する有害事象が発現する可能性があることから、安易な服用およびオーバードースは避けるよう勧告されています。また、日本において医薬品製造販売承認を取得していないため、医薬品副作用被害救済制度の適用対象とならないことに留意が必要です。

作用機序および有効性

脳内の神経細胞によるセロトニンおよびノルアドレナリンの取り込みを阻害するセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)です。ただし、通常のSNRIとしての効果は有しておらず、抗うつ薬として処方されることはありません。

本薬の添付文書によると、食事療法とともに本薬を半年間継続的に服用(1日あたり1015mg)することで、約6kgから10kg弱の体重減少が観察されることが報告されています。なお、プラセボ群でも約1kgから約5kgの体重減少が観察されています。また、健康人、2型糖尿病患者、高血圧患者(ただし、病態が安定した患者)を対象とした臨床試験(1日あたり520mg投与)の結果、数%10%以上の体重減少が観察されています。ただし、これらの臨床試験は、いずれもBMI32以上かつ体重が87kg以上の肥満人を対象として行われたものであることに注意が必要です。

安全性

シブトラミンはその薬理作用の関係で、モノアミン酸化酵素阻害薬のような、セロトニンの分解を阻害する薬物との併用は禁忌となっています。また、本薬はSNRIであること踏まえると、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの神経細胞のセロトニン再取り込みを阻害する薬物やSNRIとの併用も警戒が必要です。したがって、うつ病のような疾患を抱えている人は、医師に相談した上で使用の可否を考える必要があります。なお、メリディアの製造販売元であるアボット・ラボラトリーズ社は、本薬の添付文書において、摂食障害の人や他の中枢神経に作用する痩せ薬(フェンフルラミンやリモナバンなど)、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌である旨を記載しています。また、緑内障患者も禁忌です。さらに、シブトラミンの投与によって高血圧、肺高血圧、心拍数上昇が発現することも注意喚起されており、循環器系に係わる基礎疾患を有する人は、服用前に医師に相談するのが望ましいとされています。その他の有害事象として口渇があります。

臨床結果

シブトラミンを使用した臨床試験では、肥満症患者に6ヵ月の継続投与をすることで610kgの減量効果がありました。2型糖尿病や高血圧を伴う肥満症患者を対象にした試験では、1520mgの投与で体重が310%減少しました。

臨床試験の結果は、いずれも運動療法や食事療法を取り入れたものです。シブトラミンを含む肥満治療薬の投与対象は、BMI32以上の体重87kg以上、高度肥満症と診断された人です。

日本国内での現状

医薬品であるのに、サプリメントであるという宣伝がしばしば行われています。個人輸入するしか入手方法ありませんが、実際にはいくつかの美容内科や美容外科で処方されていることが確認されています。気管支喘息の既往歴のある30代女性が医薬品成分シブトラミンを含む製剤を摂取後に死亡するという事例が2009年に報告されています。死亡事例の因果関係は不明ですが、厚生労働省からシブトラミンの使用に対して注意喚起されています。