スマトリプタンについて

スマトリプタンSumatriptan)は、スルホンアミド基を含むトリプタン製剤であり、偏頭痛・群発頭痛の治療に用いられています。日本では、グラクソ・スミスクラインから商品名「イミグラン」として製造・販売されています。

スマトリプタンは、市販された最初の(1991年)トリプタン製剤です。米国および他の大半の先進国では、医師の処方によってしか入手することはできません。英国では、「イミグラン・リカバリー(Imigran Recovery)」の商品名でスマトリプタンの錠剤を薬局で購入することができますが、鼻腔内噴霧剤や注射剤は処方箋が必要となります。スマトリプタンは、錠剤、注射用溶液、鼻腔からの吸入剤などのかたちで製剤化されています。

作用機序

スマトリプタンは、セロトニン(5-HT)と構造が類似しており、セロトニン受容体(5-HT1D型及び5-HT1B型)に対するアゴニスト(作動薬)です。セロトニンが特異的に結合する受容体が大脳動脈に存在しています。頭痛の主要因は大脳動脈の拡張であると考えられているが、スマトリプタンは受容体に結合することでそれらの血管を収縮させるはたらきを持ちます。スマトリプタンは三叉神経痛の痛みも緩和させることが示されており、それは群発頭痛への効能によって部分的にではあるが説明されています。注射剤型は群発頭痛の痛みを症例の96%15分以内に収めるとされます。

薬物動態

スマトリプタン製剤の例(イミグラン点鼻液)

スマトリプタンは、錠剤、皮下注射、ないし鼻腔噴霧剤として投与されます。経口製剤(コハク酸塩として)は、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)に劣るという欠点がある。この理由のひとつは、薬物が全身循環に入る前に代謝を受けて分解してしまうためです。新型の速放錠は、バイオアベイラビリティは変わりがないが、最大血中濃度に達するのが平均して1015分だけ早くなります。注射された場合、効果が現れるのは早い(一般に10分以内)が、効果の持続時間も短くなります。スマトリプタンの代謝は、まずモノアミンオキシダーゼAによってインドール酢酸誘導体に代謝され、さらにその一部はグルクロン酸抱合を受けます。これらの代謝物は、尿および胆汁に排出されます。

スマトリプタンの血中濃度そのもの(薬物動態)と、抗偏頭痛作用(薬力学)との間には、シンプルで直接的な関係性は見出せません。この矛盾の謎は、服用した薬そのものの量よりもむしろ、さまざまな剤形による吸収の度合いを比較することで、ある程度まで解き明かされてきています。

効能

スマトリプタンは、前兆のあるなしにかかわらず、偏頭痛の応急治療として使用する薬です。さらに注射剤は、群発頭痛の治療薬としても承認を受けています。

禁忌

連用によって薬物乱用頭痛が引き起こされます。

心筋梗塞、虚血性心疾患の疑い、冠状動脈攣縮(異型狭心症)、末梢血管障害、中程度から高度ないしコントロールされていない高血圧症の患者に使用することはできません。重篤な肝機能障害があることが分かっている場合や、一過性脳虚血発作の既往歴があるときも適用することはできません。

スマトリプタンは、麦角アルカロイドやその誘導体(エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミンなど)と同時に服用してはなりません。血管攣縮をおこす可能性が高いからです。また、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAO阻害薬)を服用しているとスマトリプタンの分解が阻害されるため、MAO阻害薬の投与が終了してから少なくとも2週間空けたのちに投与を開始すべきとされています。

薬剤過敏症がある場合にも投与が禁じられています。スルホンアミドに対するアレルギーがあることが分かっている場合は、十分に注意して投与することが推奨されています。