B型肝炎の治療薬テノホビル

テノホビルについて

テノホビルTenofovir)は抗ウイルス薬のひとつです。ジソプロキシルエステルまたはアラフェナミド(アラニンイソプロピルエステルとのアミド+フェノールとのエステル)のフマル酸塩として販売されています。

HIV感染症やB型肝炎の治療に用いられます。ギリアド・サイエンシズが開発し、日本では下記の製薬会社へ導出しています。ジソプロキシルエステルの製品名は抗HIV薬としてはビリアード(日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売)、B型肝炎治療薬としてはテノゼット錠300 mg(グラクソ・スミスクライン販売)。他にエムトリシタビンとの2剤合剤、リルピビリン・エムトリシタビンとの3剤合剤、エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビンとの4剤合剤が承認されています。アラフェナミドはB型肝炎にはベムリディ錠25 mg(ギリアド)が単剤で販売されているのに対し、抗HIV薬としては単剤では製品化されておらず、エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビンとの4剤合剤のみが使用できます

薬理

HIVHBVはその生活環の中で、逆転写と呼ばれるRNAからDNAへと遺伝情報を複写する過程があります。テノホビルは核酸アナログ製剤であり、この逆転写を行う酵素を阻害することで、ウイルスの複製を阻害する抗ウイルス化学療法薬です。

B型肝炎治療においてエンテカビルはDNA変異ウイルスの出現により耐性を獲得されることがあります。テノホビルは、そのような多剤耐性獲得ウイルスに対しても効果を示します。

用法・用量に関連する使用上の注意

・本剤は、投与中止により肝機能の悪化又は肝炎の重症 化を起こすことがあります。本内容を患者に説明し、患者 が自己の判断で投与を中止しないように十分指導すること。

・本剤の投与開始時期、投与期間、併用薬、他の抗ウイルス剤に対する耐性がみられた患者への使用等については、国内外のガイドライン等を参考にすること。

・本剤の有効成分であるテノホビルアラフェナミドの他、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。

・投与開始時に、クレアチニン・クリアランスが15mL/ 分以上であることを確認すること。また、本剤投与後、クレアチニン・クリアランスが15mL/分未満に低下した場合は、投与の中止を考慮すること。

副作用

テノホビルジソプロキシルエステル単剤で重大な副作用とされているものは、腎不全等の重度の腎機能障害、乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大です。観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

飲み合わせ

一部の医薬品と相互作用を起こす可能性があります。飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり、副作用が出やすくなります。

・同一成分を含有する別の抗ウイルス薬と重複しないようにします。ベムリディ、ツルバダ、スタリビルド、デシコビ、ゲンボイヤ、コムプレラ、ベムリディなどがこれにあたります。

・類似薬のジダノシン(ヴァイデックス)の副作用を強めるおそれがあります。逆に、アタザナビル(レイアタッツ)の作用を弱める可能性があります。

・他の抗ウイルス薬のアシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)、ガンシクロビル(デノシン)などとの併用により、副作用が強まるおそれがあります。

妊娠・授乳

・妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。エイズの治療にあたっては、この薬を飲むことで赤ちゃんの感染リスクを減らせる可能性があります。はっきりしたことは分かっていませんが、他の同類薬に比べ胎児への安全性が比較的高いと推定されています(FDA薬剤胎児危険度分類基準:カテゴリーB)。なお、エイズの治療で妊娠中に推奨されるのは、主要薬はプロテアーゼ阻害薬のロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)、基礎薬としてヌクレオシド系のジドブジン・ラミブジン配合剤(コンビビル)の組み合わせです。

・授乳は避けてください。乳汁中に薬が移行すると考えられます。また、母乳中のエイズウイルスにより赤ちゃんが感染するおそれがあります。