睡眠導入剤ゾルピデム

ゾルピデムについて

ゾルピデムZolpidem)は、イミダゾピリジン系に分類される非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤に用いられる化合物です。脳のGABAA受容体のω1サブタイプに作用することで効果を示します。日本での商品名は「マイスリー」でアステラス製薬が販売していま

す。同じ睡眠導入剤のゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)、トリアゾラム(ハルシオン)と同様に超短時間作用型であり、寝付きの悪さの改善薬として処方されます。

各国のゾルピデムの取り扱い状況

アメリカでは2013年に、女性ではゾルピデムの排出が遅いことから、推奨用量が5mgに半減されました。他害行為を誘発する傾向はアメリカで認可された睡眠薬ではトリアゾラムに次ぎます。骨折などの傷害リスクが高まる傾向があります。台湾の国民保険データの解析によれば、脳卒中、心筋梗塞、癌のリスク増加が報告されています。

連用により依存症、急激な量の減少により離脱症状を生じることがあります。日本の薬物乱用症例の中でも上位5位に入り乱用されやすい傾向があります。向精神薬に関する条約のスケジュールIVに指定されています。日本では麻薬及び向精神薬取締法における第3種向精神薬に分類され、医薬品医療機器等法の処方箋医薬品と習慣性医薬品に指定されています。

効能・効果

不眠症に適応がありますが、統合失調症および躁うつ病に伴う不眠症は除きます。

超短時間作用型の睡眠導入剤であるため、早朝覚醒(夜中に何度も目が覚めるなど)には用いられません。この場合は、ベンゾジアゼピン系などの中間作用型の薬(ニトラゼパムなど)が使用されます。

作用機序

GABAA受容体複合体のベンゾジアゼピン結合部位(ωサブタイプ)に作用し、γ-アミノ酪酸(GABA)の作用を増強します。ω受容体には2つのサブタイプがあり、ω1サブタイプは催眠鎮静作用に、ω2サブタイプは抗痙攣作用、抗不安作用および筋弛緩作用に深く関与しているものと考えられています。ゾルピデムは、他のベンゾジアゼピン系睡眠導入剤と比較してω1選択性が高く、催眠鎮静作用に比べて、抗不安作用、抗痙攣作用、筋弛緩作用が弱いのが特徴とされています。また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて反復投与による耐性や依存は形成されにくいですが、耐性が生じることがあるため、連用によって効き目が落ちる場合があります。

副作用

一般的な副作用としては、起床後の眠気やふらつき、倦怠感などが挙げられます。稀に生ずる重大な副作用としては、依存の形成、呼吸抑制、一過性前向性健忘などがあります。

服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがあります。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意が必要です。

依存性と離脱症状

ゾルピデムの長期的な使用は薬物の耐性の形成や薬物依存、反跳性不眠、中枢神経系関連の副作用に関連するといわれています。ゾルピデムは短期的な使用に限られ、最小有効量の投与にとどめることが推奨されています。

耐性は人によってわずか数週間で形成されます。ゾルピデムの突然の中止は、長期間・高用量で服用された場合に特に、精神錯乱、発作などの深刻な影響を与える可能性があります。

薬物耐性や身体的依存が形成された場合、治療は通常、離脱症状を最小限に抑えるために数ヶ月にわたって徐々に減量を行います。これはベンゾジアゼピン離脱症候群と同様です。これに失敗した場合、一部の患者では別の方法への切り替えが必要となる場合があります。ジアゼパムまたはクロルジアゼポキシドなどの長時間作用型ベンゾジアゼピンに切り換えて徐々に減量していくことになります。治療困難な薬物依存者の治療には、フルマゼニルを用いた迅速な解毒入院を用いることができます。

禁忌

・重症筋無力症

・急性狭隅角緑内障には禁忌となる