ゾピクロンZopiclone)は、シクロピロロン系の睡眠障害改善剤であり、非ベンゾジアゼピン系の超短時間作用型睡眠薬として知られています。GABA受容体へ影響することでGABA系の抑制機構を増強する点ではベンゾジアゼピン系の薬物と似ています。日本では1989年から「アモバン」(サノフィ株式会社)が販売され、後発医薬品も存在します。鏡像異性体は「エスゾピクロン(ルネスタ)」です。

連用により依存症、急激な量の減少により離脱症状を生じることがあります。薬機法の習慣性医薬品、麻薬及び向精神薬取締法の第三種向精神薬に指定されています。

歴史

フランス国有の化学・製薬会社ローヌ・プーラン社(Rhône-Poulenc)が創薬しました。フランスでは1987年に「Imovane」の商品名で発売されました

日本では1989年から、アモバンの商品名で発売されています。当時は中外製薬と吉富製薬が提携販売しており、2015年時点でサノフィが製造し、日医工が販売しています。

薬理

深い眠り(徐波睡眠のステージ34)を増加させ、レム睡眠に対する影響は少ない。ゾピクロンはラセミ混合物(R体とS体)であり、光学分割して得られたS体の製剤がエスゾピクロン(ルネスタ)です。

適応

・不眠症

・麻酔前投薬

用法・用量

・不眠症

通常、成人1回、ゾピクロンとして、7.510mgを就寝前に経口投与します。なお、年齢・症状により適宜増減しますが、10mgを超えないこととしています。

・麻酔前投薬

通常、成人1回、ゾピクロンとして、7.510mgを就寝前または手術前に経口投与します。

用法・用量に関連する使用上の注意

・本剤を投与する場合、反応に個人差があるため少量(高齢者では13.75mg)から投与を開始すること。また、肝障害のある患者では3.75mgから投与を開始することが望ましいとされています。やむを得ず増量する場合は観察を十分に行いながら慎重に投与するようにしてください。ただし、10mgを超えないこととし、症状の改善に伴って減量に努めるようにしてください。

・不眠症には、就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないようにしてください。

副作用

副作用として、依存性、呼吸抑制、一過性前向性健忘、口渇、めまい、ふらつきなどがあります。過剰投与を長期に渡り行った場合、常時服用していないと離脱症状として情緒不安定、耳鳴り、幻聴、嘔吐などが引きおこされることがあります。なお10mg以上を一度に服用すると、筋弛緩作用により全身の力が入らなくなる症状や、幻覚などがあらわれることがあります。

他の睡眠薬ではほとんど報告されていませんが、ゾピクロンは承認時までの臨床試験で約8%の被験者に苦味の副作用が発現しています。味覚障害の副作用です。代謝産物が苦味を生じるため、錠剤が口の中を通り抜けた後も苦みを感じることがあります。

依存性

連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、振戦、痙攣発作、不眠等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行う必要があります。

過剰投与

本剤の過量投与により傾眠、錯乱、嗜眠を生じ、更には失調、筋緊張低下、血圧低下、メトヘモグロビン血症、呼吸機能低下、昏睡等に至ることがあります。他の中枢神経抑制剤やアルコールと併用時の過量投与は致死的となることがあります。また、合併症や衰弱状態などの危険因子がある場合は、症状は重篤化する可能性があり、ごくまれに致死的な経過をたどることがあります。

禁忌

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

・重症筋無力症の患者(筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがあります)

・急性狭隅角緑内障の患者(眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがあります)